酒を飲みながら

酒を飲みながら嫌われ松子の一生を見て、ふと思った。


近所には土手がない。


自分が物心ついた時には荒川があった。
土手と言えば荒川土手だった。


1人になりたい夜には土手に行った。
無駄にでかい土手(無駄じゃないんだけど)と、無駄に広い川幅と、すべてを見透かしたようにマイペースでゆったり流れる水を見ていたら、だいたいふわふわした気分になって、落ち着いた。
宇宙に思いを馳せて、自分がいかに小さい人間かを認識する人は多いと思う。
自分は、荒川を見て自分の小ささと自然の器のでかさを認識していたんだと思う。

 

「なにしにきよった」
「別に。・・・ただこの川を見に来たの」


わかるよ松子〜。川を見に行きたくなることはあるよー。


なくなってわかった。
なんの気なしに渡ってた笹目橋。でかいよ荒川。

また見に行くから。